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WAON RECORDS



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めぐりあう時 INCONTRI

吉田 愛&アレックス・ガイ(オルガン)

WAONCD-350 / 71min Stereo / CD(HQCD) 2019年4月19日発売 オープンプライス JAN/EAN 4560205956350
解説:野村陽一、吉田愛&アレックス・ガイ(日本語、英語、イタリア語)
レコード芸術誌〈特選盤〉  音楽現代誌〈推薦〉 
オーディオアクセサリー誌〈優秀盤オーディオグレード特選〉福田雅光氏選〈同・推薦〉林正儀氏選
Stereo誌「この音を聴け!」〈今月の一番〉 高崎素行氏選

2018年4月18日、日本福音ルーテル大分教会の礼拝堂に手鍵盤2段、足鍵盤付き10ストップのパイプオルガンが完成しました。イタリア北部ドロミテ渓谷にあるアンドレア・ゼーニ工房が製作したものです。整音に評価の高い同工房が日本の教会に納めた最初のオルガンとなりました。ドロミテの麓に住み、オルガニストとして活躍する吉田愛さんと、アレックス・ガイさんが来日し、このオルガンの様々な音色を魅力的に引き出した演奏です。電流伝送マイクをオルガンを整音した位置にセッティングし、オルガンの本来の音色バランスを5.6MHz DSD録音でリアル&ダイナミックに収録しました。


[収録曲目]

ヨハン・セバスティアン・バッハ [演奏:吉田 愛]
1-2.前奏曲とフーガ ハ長調 BWV545
3.「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」BWV659
4.「目覚めよ、と呼ぶ声あり」BWV645
5.「最愛のイエス、我らここに集いて」BWV731
6.トリオ「主イエス・キリスト、われらを顧みたまえ」BWV655
ヨハン・パッヘルベル [演奏:吉田 愛]
7-17.「神のみわざは善きかな」による9つの変奏曲
ヨハン・クリスティアン・バッハ [演奏:吉田 愛&アレックス・ガイ 4手連弾]
18-19.ソナタ イ長調 Op.18 Nr.5
アントニオ・ヴィヴァルディ/ヨハン・セバスティアン・バッハ [演奏:アレックス・ガイ]
20-22.協奏曲 ニ長調 BWV972
ドメニコ・ヅィポリ [演奏:アレックス・ガイ]
23.カンツォーナ ト短調
24.奉献
25.聖体奉挙 ハ長調
26.聖体拝領後
ヨハン・セバスティアン・バッハ [演奏:アレックス・ガイ]
27-28.トッカータとフーガ ニ短調 BWV565

[演奏者プロフィール]

吉田愛 よしだ あい
東京都出身。武蔵野音楽大学オルガン科卒業後、渡独。ドイツ・リューベック音楽大学、同大学院に於いてディプロマ及びドイツ国家演奏家資格を最優秀にて取得。また文化庁芸術家在外研修員として同校教会音楽科でドイツ教会音楽家資格を得る。オルガンを藤枝照久、M.ハーゼルベック、古典奏法をL.ギエルミの各氏に師事。1996年オランダ・マーストリヒト、2002年スイス・ローザンヌでの国際コンクールで受賞。2002~2006年盛岡市民文化ホール専属オルガニストとしてパイプオルガンの啓蒙活動に務めた。
現在は北イタリアのドロミテ渓谷に暮らしながらヨーロッパ各地のオルガンフェスティバルや日本で幅広く演奏活動を行っている。ソロCD「バッハとイタリア」(2010年 ワオンレコード)はレコード芸術、音楽現代、CDジャーナルの各誌で「特選盤」「推薦」「注目盤」に選ばれ注目された。また「ドロミテ・オルガン・アカデミー」を主宰するなど各地で後進の指導に当たっている。南チロル州エーニャ市聖ニコロ教会オルガニスト。日本オルガニスト協会、日本オルガン研究会会員。
〈ブログ「オルガニスト愛のイタリア山小屋生活」〉

アレックス・ガイ Alex Gai
イタリア・ヴェネト州出身。パドヴァ音楽院にてオルガンと作曲を学び最高点でディプロマを取得。またミラノ市立音楽院で古典奏法を学ぶ。S.カルネロス、E.ダリオ、R.リヴィエリ、P.マリサルディ、L.ギエルミの各氏に師事。2001年ローマ「ジャルダ賞」をはじめ各地の国際オルガンコンクールにて受賞。
2006年にパートナーの吉田愛とオルガン4手連弾ユニットORGAN DUOを結成。イタリア、ヨーロッパ、日本の各地の国際フェスティバルに招待されパイプオルガンの幅広い魅力を紹介している。オルガン連弾CD「4手の対話」(2013年 ワオンレコード)は、レコード芸術、音楽現代、朝日、読売新聞の各誌で「優秀録音」「準特選盤」「推薦盤」に選ばれた。1992 ~ 2005年、故郷コルディニャーノ市教会オルガニスト。現在はフィエンメ渓谷テゼロ市サン・エリゼオ教会オルガニスト。また演奏活動と平行して、2004年より同地のアンドレア・ゼーニ・オルガン工房に於いてオルガン制作にも携わり、パイプオルガンという楽器を探究し続けている。
〈アレックス・ガイ&吉田愛オフィシャルサイト〉


[使用楽器]

日本福音ルーテル大分教会のアンドレア・ゼーニ・オルガン
Andrea Zeni-organ at Japan Evangelical Lutheran Church Oita

Grand’Organo (C-g’’’)
Prinzipal 8’
Gedackt 8’
Oktav 4’
Superoktav+Mixtur II 2’

Positivo (C-g’’’)
Rohrflöte 8’
Rohrflöte 4’
Nasat 2 2/3’
Oktav 2’
Terz 1 3/5’
Tremulant

Pedale (C-f’)
Subbass 16’

Pos/GO
GO/Ped
Pos/Ped


[Recording Data]

録音日時・場所
2018年6月20日,21日 日本福音ルーテル大分教会
[ 5.6448MHz DSD Recording & 192kHz 24bit Editing ]
使用マイク(ステレオペア)
PureT Records 電流伝送型マイクロホン Schoeps MK2S 無指向性カプセル装着
設計・製作 :
毛利忠晴(ピュアートレコーズ)2017年バージョン
セッティング
Pair microphones A-B stereo
プリアンプ
PureT Records PT-CMP01
設計・製作 :
毛利忠晴(ピュアートレコーズ)2016年バージョン
レコーダー
TASCAM DA-3000
マスタークロック
Grimm Audio CC2
電源コンディショナー
Waon Records BIT-15 balanced isolation transformer
DSD to PCM converter
Weiss Saracon-DSD
  • Excutive Producer, Recording & Editing :
    Kazuhiro Kobushi 小伏和宏
  • Translation : Daniela Marotto
  • Cover design & Art works :
    Masako Saimura 才村昌子〈オフィシャルサイト〉

[録音のこだわり]

アレックスがオルガン製作者として勤務するイタリア・ドロミテのアンドレア・ゼーニ・オルガン工房の手になるこの規模のものとしては日本ではじめてのオルガンが、日本福音ルーテル大分教会に建造されました。16フィート管はじめ、多くのストップを持ち、単に奏楽用としてのみならず演奏用としても広く使っていただきたいという教会の皆さんの思いが立派なオルガンを生み出しました。ドロミテと大分が出会い、オルガンを通じてカトリックのアンドレアとプロテスタント教会が出会う。そしてドロミテに住むオルガニスト吉田愛さんとアレックス・ガイさんに来日いただき、カトリックとプロテスタントを橋渡しする演奏家の作品を弾いていただいてこのアルバムは成り立っています。だから「めぐりあう時」。実は他にも驚くべき出会いがあるのですが、それはお買い求めいただくとブクレットに書かれています。表紙は、このオルガンの譜面台に施された象嵌です。
オルガンの録音ではマイクをパイプの歌口の高さまで上げて録る例が多く見られます。パイプ一本一本の音を録るという意味ではそのほうが明瞭な音が録れるからです。しかしオルガンというのは必ず多くのパイプが同時に鳴り、それがオルガンの置かれた空間全部を響かせて一つの音色となる楽器です。パイプ、建物、空間の響きが混ざり合って初めてオルガンの音色となるわけです。今回このオルガンの建造には整音に定評のあるアンドレア親方が日本まで出向かれて作業されたわけで、彼がどこでこのオルガンを整音したかがはっきりわかっています。そこで今回その場所(礼拝堂1階の聖壇の前)に1組のペアマイクを置き、製作者が求めたこのオルガンの本来の音色を捉えることにしました。実際には床面の反射や壁面のフラッターを避けるためにそのジャストのポイントから少しだけ離してはいますが、整音されたそのバランスで録れる場所を選んでセッティングしています。その結果、実にスケール感が有りながらもちゃんと空間が感じられる音を捉えることができました。手前に配されたパイプは近く明るい音で、楽器奥に配されたパイプは遠くくぐもった音で、左にあるパイプは左から、右にあるパイプは右から、そして低音は礼拝堂の空間すべてを埋め尽くす響きとして収録されています。礼拝堂で聞いていただくとおりの音です。16フィートの最低音も一切の加工をせずに収録しました。小さなスピーカー(ラジカセとかカーステレオとか)ではスピーカーがそのストロークを使い果たしてバリバリと音を立ててしまうかもしれません。このオルガンの音色をそのままお伝えしたいのであえて手を加えませんでした。収録用のマイクには電流伝送型マイクを用いました。こういった広い空間の響きをまるごと表現することに長けています。基本的に2017年型電流伝送マイクですが、2018年の改造予定のアイデアを少し盛り込んで細工をして使っています。以前のモデルよりも空間を広く表現することができました。とてもローノイズなマイクですが、アルバムを通してずっとゴーとかパタパタパタとか言っているのはフイゴや機械式トレモロ装置の作動音です。オランダのGrimm Audio製のマスタークロックCC2や、自社製作のバランスアイソレーショントランスBIT-15も導入して高音質化を狙っています。5.6MHzのDSD方式の録音です。CD用にはスイスweiss社のSaracon-DSDを使って変換しています。ディスクは高音質CDであるHQCDで制作しています。できるだけ良い再生システムで再生していただき、礼拝堂の空間をまるごと感じつつ、素敵な演奏をお楽しみいただければ幸いです。